恋は盲目

十六巻。暗殺だらけの十六巻。敵も味方も暗殺だらけ。もうねえ、よくないですよ暗殺とか。梁山泊の重要人物の暗殺を繰り返す史文恭なんて、本来なら憎むべき人物なんだけれども、最期の劉唐との静かなやりとりに、もう何て言ったらいいかわからない。袁明と公孫勝、燕青と洪清もなんか不思議な関係性になってて、スッキリしないけどモヤモヤするとも言い難い変な気分。

ラスボス然としてた童貫がいよいよ動きだして、史進ですら軽くあしらわれちゃって、もうどうやって戦っていくんだろうか。つけ入る隙が見当たらんのですけど。そういえば今までわりと呉用先生擁護派だったけどいいかげん鬱陶しくなってきた。

梁山泊発足から随分と年も経って、なんというか志の神通力も弱くなってきたんでしょうかねえ。あれな男とあれな女の巻でもありました。

王英と扈三娘。しかし王英どうしようもねえなあ。結婚初夜に何の躊躇もなく約束してたから、あの妾の事どうすんだろうと思ってたら、別になんも変わらないんだもんな。扈三娘と結婚した事で満足してりゃあいいじゃんと思ってしまうんだけど。でもまあ、王英みたいな男って実際いるよね。呂牛が何かやるってんでもっと嫌な想像をしてたので、そういう意味ではよかったけれども。

そんで女のほうの楽大娘子もなあ…。もうちょっとなんとかできたんじゃないのか。というか孫立さあ、これからは志一本でやって行きます!男は野戦で死ぬぜ!的な事を言ってまとめてるけど、孫立もたいがいだよ。なんなら孫立が一番駄目だと思うよ。こうまで目が曇ってしまうものか。

そんな感じでちょっと中だるみな感じかと思ってたら、最後の最後に李師師とかいう謎の女が出てきて、実に妖しげである。まあ実に妖しげ。この期に及んで何をしでかすのやら。