恋は盲目

十六巻。暗殺だらけの十六巻。敵も味方も暗殺だらけ。もうねえ、よくないですよ暗殺とか。梁山泊の重要人物の暗殺を繰り返す史文恭なんて、本来なら憎むべき人物なんだけれども、最期の劉唐との静かなやりとりに、もう何て言ったらいいかわからない。袁明と公孫勝、燕青と洪清もなんか不思議な関係性になってて、スッキリしないけどモヤモヤするとも言い難い変な気分。

ラスボス然としてた童貫がいよいよ動きだして、史進ですら軽くあしらわれちゃって、もうどうやって戦っていくんだろうか。つけ入る隙が見当たらんのですけど。そういえば今までわりと呉用先生擁護派だったけどいいかげん鬱陶しくなってきた。

梁山泊発足から随分と年も経って、なんというか志の神通力も弱くなってきたんでしょうかねえ。あれな男とあれな女の巻でもありました。

王英と扈三娘。しかし王英どうしようもねえなあ。結婚初夜に何の躊躇もなく約束してたから、あの妾の事どうすんだろうと思ってたら、別になんも変わらないんだもんな。扈三娘と結婚した事で満足してりゃあいいじゃんと思ってしまうんだけど。でもまあ、王英みたいな男って実際いるよね。呂牛が何かやるってんでもっと嫌な想像をしてたので、そういう意味ではよかったけれども。

そんで女のほうの楽大娘子もなあ…。もうちょっとなんとかできたんじゃないのか。というか孫立さあ、これからは志一本でやって行きます!男は野戦で死ぬぜ!的な事を言ってまとめてるけど、孫立もたいがいだよ。なんなら孫立が一番駄目だと思うよ。こうまで目が曇ってしまうものか。

そんな感じでちょっと中だるみな感じかと思ってたら、最後の最後に李師師とかいう謎の女が出てきて、実に妖しげである。まあ実に妖しげ。この期に及んで何をしでかすのやら。

大器の片鱗

十五巻。引き続き花栄のスナイパータイム。いままであまり見せ場がなかった分すげえものを見せてくれたけれども、そうしている間にもバタバタと人が死んでいく。立て続けに死なれてしまうとけっこう辛い。李応が死んだら杜興が悲しむよ。
宿元景が最後に意地を見せて、そのおかげで朱武までが……。神機軍師という渾名がかっこよくて好きだったのだが。宿元景もあの状況で大人しく撤退できないってのは理解できるけどもなあ……。読みながら、こっちくんなよ宿元景ー!と思ってしまったよ。
そんな中、顧大嫂おばさんの無双っぷりがちょっと微笑ましい。敵兵に化け物よばわりされてるし。さすがは聞煥章を手負いにした女である。
一方そのころ子午山では――、
ということで、楊令ですよ楊令。張平とのくだりでいよいよ楊令が器の大きさを見せ始めたというか、楊令の魅力が爆発しまして、もう完全にやられてしまった。もう読書続行不可能なレベル。たまらなくなって窓から「楊令ーーー!!」って叫びたくなったもの。本当に。

という事で北方水滸伝十五巻、実に面白かった。どす黒い物を吐いたら復活ってシステムはよくわからないけれども、死んじゃうよりはいいので問題なし!

香港国際警察

録画してた 香港国際警察/NEW POLICE STORY を見た。何年ぶりかなーなんて思いながら流し見てたら、初っ端から全然見覚えの無いシーンの連続で、とにかく人が死にまくっててけっこう辛かった。見たことあると思ってたんだけど初見だったみたい。でも時限爆弾のシーンとおもちゃ売り場で戦うシーンは何となく見覚えあるんだけど。相棒の若手の存在を全然知らなかったからやはり初見なんだろう。すげー男前だね。現代の日本でも通用しそう。何をいまさら!って話だけど、踊る大捜査線の青島のコートの元ネタがコレなんだろうか。いまさら調べるのもシャクなので調べませんが。あとライバル刑事が高田延彦に似てた。見終わった後なんとも言えない気分になったので、手元にあった蛇拳のDVDを見たんだけど、これは字幕版なのでイマイチなのだった。鷹爪拳の師範は今田耕司に似てる。

大砲バカ一代

十四巻。子供の育て方に悩む張横の話から。梁山泊の好漢たちは、それぞれが腕も立つのに、妙に所帯じみた事で悩んでたりするのがおもしろい。結局また子午山かよ!とちょっと思ってしまったけど。あと孫二娘との関係をクソ真面目に、しかも頭領である宋江に報告に来る裴宣とか、すげえ良いよなあ。梁山泊のみなさんは色恋沙汰が不器用すぎて、そこがまた良い。
あとは、大砲バカ一代の人のくだりが面白かった。凌振と魏定国。「なんだと?てめえ俺を舐めてんのか」から「ちょ、今のどうやったん?教えて教えて」への変わり身の速さよ。「お前、性格がしつこいぞ」とハッキリ言ってくれる魏定国。おもしろい。ここだけギャグっぽかった。
そして序盤に登場してた割に地味だった花栄にようやく見せ場がきた所で、十四巻おしまい。地方軍の将軍も大変ね。